頭痛と治療
治療法について考える前に、頭痛の種類について考えてみましょう。
頭痛には脳腫瘍やくも膜下出血などの病気が原因となって、症状として頭痛が起こる「症候性頭痛」(しょうこうせいずつう)と、頭痛それ自体が病気である「慢性頭痛(機能性頭痛)」(きのうせいずつう)とがあります。
慢性頭痛には、首や肩の筋肉のこりが原因の「緊張型頭痛」、頭の血管の過度な拡張が原因となる「群発頭痛」や「片頭痛」がありますが、どれも医師の治療が必要な病気です。
また最近の頭痛治療については、以前と比較して新しい治療薬の開発が進み、ずいぶん様変わりしてきています。
これまでの頭痛治療では、命の危険性のある「症候性頭痛」の鑑別診断がメインで、CTやMRIを撮り、脳腫瘍やくも膜下出血などの異常がないとわかれば、鎮痛薬を処方されて終わりというのが多かったように思います。別段異常がないのだから治療の必要がないというのが頭痛治療に対する考え方の主流でした。特に、鎮痛薬の効かない片頭痛には、ほとんどなすすべがなかったことも、慢性頭痛全体の治療に力が入らなかった一因と言えます。このような状況で、病院へ通院するのを途中であきらめてしまった患者さんもたくさんおられたのではないでしょうか。
頭痛治療が大きく変わったのは、2001年のトリプタンの発売からです。トリプタンは、片頭痛専門の治療薬で、片頭痛の原因である頭の血管に直接作用して、血管の過度の拡張と炎症を鎮める効果があります。トリプタンが発売されたことで、慢性頭痛の鑑別診断がより重要となって、慢性頭痛の治療に熱心に取り組む医師が増えてきました。
鎮痛剤を処方する以外に方法がなかった以前と比較して、患者さんのQOL(クオリティ オブ ライフ)に対する医師の認識もずいぶんと変わってきました。片頭痛などの慢性頭痛が、著しく患者さんの生活を害する病気だという認識が高まってきたのです。2001年に発売開始されたトリプタン注射剤を皮切りに、錠剤、チュアブル錠、そして点鼻薬など治療薬の形態も増え、また予防薬の研究も進んできています。
患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルに合った治療薬を選択し、頭痛をコントロールして、QOLを改善すべきであると考える医師も多くなっています。
このように頭痛治療の現状は日々改善されつつあるといえます。治療法の選択肢が増えたこと、患者の生活の向上に対する医師の認識が高まっている現状は頭痛治療の前進に大きく寄与しています。
頭痛に悩んでいる人も治療をあきらめず、「頭痛は治療可能な病気」だという認識をもって治療にあたってほしいと思います。
今後もこのブログを通して頭痛治療の最前線を探っていきます。「治療できる!」を合言葉に。